ぼんやり歩いていると,無造作に携帯を取り出してブックマークしてある
「ラーメンバンク」に飛び[近くのお店を探す]でGPS検索してしまうのが癖だ。
知らない街に行った時は間違いなく,この機能を使ってらーめん屋さんを探すのだけど,
知ってる街でどこにどのらーめん屋さんがあるか知っていたとしても手癖で勝手にやってしまうのだ。
そうして馴染みのまち吉祥寺で発見したのが「パーミーラーメンセンター」だった。
どうやら2月16日にオープンした新店らしく,これは行くしかない!と向かったわけである。
情報によると武蔵家の奥,お洒落な喫茶店カフェゼノンの少し先にあるという。
だがそれ以外は月曜が休みで営業時間が16時から23時まで営業ということ,
メニューに「中華そば」と「カレーラーメン」があることしかわからない。
パーミーラーメンセンター…
名前だけを心の中で暗唱してみるとちょっと不安になった。
すこし廃れた中華料理店なんかを想像していた。
武蔵家を通り過ぎてほんのすこし歩いたところ,
通りの左側を見ていると「パーミーラーメンセンター」という看板を見つけた。
けれど,そこにあったのは名前とは雰囲気を異にした,いかにもお洒落でこじんまりしたお店だった。
最初その木製でできた入り口の扉が壁と同化していてわからずお店の中をきょろきょろしてしまったくらいだ。
中に入ると∪字型のカウンター席。
アートを感じさせるクールな音楽。
右側の壁にはメニューが書かれた大きな黒板。
そして女性の店員さんがさらっと挨拶をして厨房のほうへ姿を消してしまった。
まだ夕方前,お客さんは僕だけだ。
黒板を眺める。
中華そばとカレーラーメンしかラーメンメニューはない。
ほかにサイドメニューとして「とりそぼろごはん」や「水菜のチョレギサラダ」などがあるようだ。
店員さんを呼んで中華そば(680円)を頼むと,また厨房のほうへ姿を消した。
とりあえず水を飲もうとしたら,そのコップがまた独特。
ペイント用に絵の具をとって使いそうな素材の,すこし歪みのある形をした銀のコップが置いてあった。
それを手にとり水を注いで一口飲むと,とてもキンキンに冷えている。
それは想像以上で,そのコップが水を一瞬にしてつめたくしたのではないかと思うくらいに。
そんなことを考えていると中華そばが運ばれてきて,僕はまたひとり取り残される。
スープは昆布つゆとか鰹だしを使ったというようなもので,
麺はそうめんのようにつるっとストレートだった。
あっさりとしていて,けれどしっかりどしんと構えた安定感がある。
普通なかなからーめんではお目にかかることのないちくわもトッピングとしてのっている。
そして脂控えめで,口のなかに運んでいくと繊維のようにちぎれていく叉焼。
繊細系和風醤油!
ここの主人はどうやらもともとタイ料理出身とのことで,
ラーメンメニューのもういっぽう「カレーラーメン」とはタイやラオスで広く食べられている「カオソーイ」のことらしい。
おもしろいメニューの組み合わせだ。
接客のほうはすこし不安定でぎこちない感じがあったけれど,
お店の雰囲気はとてもよく,次はカオソーイを食べに行こうと思う。